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マッケンロー太田 VS ボルグ中沢
評価:

世界遺産(=憲法九条)を守るために芸を磨いていきたい、なんて言うお笑い芸人が2人といるだろうか!?まず、対談の幕間に太田光が記している「桜の冒険」をぜひとも読んで、彼がこのテーマにどれほど真摯に対峙しているか、その志の高さを確かめてほしいです。
この本の題名は、「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中。」で提示されたマニフェストのひとつ。そのテーマに痛く共感した人類学者・中沢新一との対談をまとめたものですが、タイトルから想像されるような、護憲一点張りの内容ではありません。憲法九条の成り立ちや、九条を保有することの利益と不利益について、宮沢賢治をはじめ、ドン・キホーテ、落語、チャップリン、アメリカ先住民、藤田嗣治の戦争画など、さまざまな事象を切り口に、死生観とか宗教観、お笑い論へと展開しながら、かなりディープに熱く論じ合われています。
それはまるで、(例えが古いけど)マッケンロー太田が打ち下ろす問題提起の鋭いサーブに対して、ボルグ中沢が歴史的な裏づけや定義づけによってリターンを返す、白熱したラリーを見ているように、刺激的で濃密です。
誰にでも非常に分かりやすく、著者2人の当事者意識が恐ろしく強いという点で、憲法について述べられた多くの書物と一線を画すだろうし、憲法を守るにしても、変えるにしても、相当な覚悟と犠牲が必要だということを思い知らされるでしょう。
そういった意味でも、新内閣が稼動し始めたいまだからこそ、とにかく読んでほしいです。
世の流れに抗することは可能か?
評価:

台風13号の通過で仕事ができないので、爆笑問題の太田光と宗教学者の中沢新一の対談としてまとめられた『憲法9条を世界遺産に』を読む。
この「世界遺産に」という提言(?)は太田光の妙案なのだけれど、彼は発言する。「世界遺産をなぜわざわざつくるのかといえば、自分たちの愚かさを知るためだと思うんです。ひょっとすると、戦争やテロで大事なものを壊してしまうかもしれない。(中略)人間とは愚かなものだから、何があってもこれだけは守ることに決めておこうというのが、世界遺産の精神ですよね。(中略)日本国憲法の9条というのは、ひょっとしたら間違いを犯すかもしれない、そんな愚かな人間だからこそ守っていかなければならない世界遺産なんです。」
一方中沢氏は、「憲法9条は修道院みたいなもの」だという。少し引用してみよう。
「修道院というのは、けっこう無茶なことをしているでしょう。普通の人間が暮らせない厳しい条件の中で、人間の理想を考えている。(中略)村の中では、普通の人たちがけんかしたり、嫉妬したり、誰が損をしたとか得をしたとか、そんなことばかりやってます。けれども、ふっと丘の上を見上げると、そこにお寺や修道院が見えるわけです。(中略)断食したり、エゴを乗り越えて、利他心に生きようとがんばっている人たちがいる。ふと見上げた丘に、そういうことをしている人たちがいるというだけで、世界の姿は変わるんですよ。」
石窯男もインドを数回訪れたことがあるけれど、世俗化した日本の葬式仏教とは全く違ったほんものの修道院があり、こういう生き方があるのかと強烈なインパクトを受けたのだが、《憲法9条》が紛争の絶えない現代社会にあって、国家の理念としてはまさしく「修道院」的なものであるという中沢氏の指摘は正しいと思う。
その精神的世界遺産である憲法9条が、小泉路線をさらに加速させる安倍新政権の誕生により、近い将来変えられることは時間の問題だろう。「美しい国家」をめざすという新政権は、柔らかで口当たりのよいソフトクリームのような率のない弁舌で、まずは教育基本法に手をつけ、それから新憲法の制定という自民党の“悲願”を成し遂げることになる。
石窯男は、何党にも属してはいないけれど、まっすぐな眼差しとしなやかな心を持った太田光の提言を支持したいと思う。それが巨大な風車に立ち向かうドン・キホーテ的な悲喜劇を演じることであったにしても…。(了)
大田が中沢に圧されている
評価:

中沢新一はさすがです。いいこと言ってます。
大田光はとても残念でなりません。
インプットの点で完全に中沢に圧されていて、本来の彼の力を出せていません。
読んでいる僕がそう思うのだから、対談中の大田は痛感していたでしょう。
本当に残念だけれど、太田光は笑いがぴったりだと思います。期待してます。
内容は、説得力に欠けていて、読んで憲法を見直す視点を持てる、ということはないでしょう。
そもそも世界遺産なんて胡散臭いものと関連付けるあたり、センスないなぁと思うのですが。。
なんにせよ、中沢新一の良さを知ることができるという点で、僕にとっては悪くない一冊でした。
著
- 太田 光 中沢 新一
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